営業先の住所が増えるたびに、スプレッドシートとにらめっこしながら「どこがどこだったか」と頭を抱えた経験はないでしょうか。
Googleマイマップは、そうした場面でひとつの答えを出してくれるツールです。無料で使えて、Excelの住所データをそのまま取り込め、チームとも共有できる。しかも特別な知識は必要ありません。
この記事では、40代の中小企業オーナーや営業職の方を念頭に置きながら、Googleマイマップの基本から一括インポート・共有の手順まで、実務で使える形で整理していきます。
Googleマイマップとは何か、基本を整理する
Googleマイマップとは、Googleが提供するオリジナル地図の作成・保存サービスです。普段使っているGoogleマップとは別のもので、「自分だけの地図」や「チーム専用の地図」を自由に作れる点が大きな特徴となります。
通常のGoogleマップは、世界中の誰もが同じ地図を見ています。一方でマイマップは、自分が登録した場所・メモ・色分け・アイコンを重ねて表示できるため、業務に合わせたカスタマイズが可能です。
たとえば営業エリアごとに色を分けたり、顧客の情報をメモとして紐づけたりといった使い方が、特別な設定なく自然にできます。Googleアカウントさえあれば無料で利用できる点も、導入のハードルを下げてくれるでしょう。
念のためお伝えしておきますが、APIを使って外部システムと連携する場合は別途費用が発生する場合があります。通常の業務利用であれば、費用を気にする必要はありません。また、マイマップはGoogleドライブ上に保存されるため、複数のデバイスから同じ地図にアクセスでき、出先でスマートフォンから確認するといった使い方にも対応しています。
主な機能は以下の7つです。それぞれ簡単に整理しておきます。
地点の登録では、場所に名前をつけ、メモや写真・動画と一緒に保存できます。顧客情報や訪問時のメモをそのまま紐づけておけるため、営業記録としても活用できるかもしれません。
レイヤによるカテゴリ分けは、地点をグループごとに整理する機能です。「既存顧客」「見込み顧客」「訪問済み」といった分類がひと目でわかるようになります。レイヤごとに表示・非表示の切り替えができる点も便利です。
マーカーの色・アイコンの変更では、地点ごとに色やアイコンを設定できます。レイヤ単位で一括変更もできるため、視覚的に情報を整理する際に重宝するでしょう。
ライン・シェイプの描画は、地図上にルートや特定のエリアを描き込む機能です。担当エリアの境界線を引いたり、巡回ルートを地図上に描いたりといった用途に向いています。
地図スタイルの変更では、地図のデザインを9種類から選択できます。資料として印刷する際の見やすさも調整できます。
データファイルからの一括インポートは、ExcelやCSVなどのファイルから住所情報を取り込み、地点を一括登録できる機能です。この機能については後の章で詳しく説明します。
共有・共同編集・埋め込みでは、作成した地図をチームで共有したり、Webサイトに埋め込んだりできます。外出先のメンバーとリアルタイムで情報を共有する場面でも活用できるでしょう。
基本的な機能を把握したところで、次は実際の作成手順を確認していきます。
マイマップの作成手順:最初の設定から地点登録まで
操作自体は難しくなく、手順通りに進めれば初めて触れる方でも問題なく完了できるはずです。
まずGoogleアカウントにログインした状態で、ブラウザからGoogleマイマップ(https://www.google.com/maps/d/)にアクセスします。「新しい地図を作成」をクリックすると、新しいタブで地図の編集画面が開きます。
画面左側のメニューに「無題の地図」と表示されているので、そこをクリックします。「地図のタイトルと説明を編集」というポップアップが表示されるので、タイトルと説明を入力して「保存」をクリックします。タイトルや説明は後から変更できるため、まずは仮のものでも構いません。
地点の登録方法は2通りあります。
ひとつは地図上で直接マーカーを追加する方法です。登録したい場所を地図上で表示し、「マーカーを追加」のアイコンをクリックしてから地点の上をクリックするとマーカーが表示されます。ポップアップに名前と説明を入力して「保存」をクリックすれば登録完了です。
もうひとつは検索バーから登録する方法です。住所や施設名を検索バーに入力して検索し、表示された候補から「地図に追加」をクリックします。正確な住所や施設名がわかっている場合は、こちらの方がスムーズかもしれません。
地点を登録すると、自動的にレイヤが追加されます。レイヤとは地点をグループ分けするための仕組みで、Excelのシートに近いイメージです。「東京エリア」「大阪エリア」といったレイヤを作り、それぞれに該当する地点を登録していくと、エリアごとの表示切り替えが簡単にできるようになります。新しいレイヤを追加するには、左メニューの「レイヤの追加」をクリックしてレイヤ名を編集します。
マーカーの色やアイコンは、登録した地点をクリックして表示されるポップアップ下部の「スタイル(ペンキマーク)」から変更できます。レイヤ単位でまとめて変更したい場合は、レイヤのメニューから「個々のスタイル」を選び、「場所のグループ化方法」で「続き番号」を選択すると、ナンバリングと一括スタイル変更が可能です。
地図全体のデザインを変えたい場合は、左メニュー下部の「基本地図」の横にある▼をクリックします。9種類のスタイルが表示されるので、目的に合ったものを選択してください。人に見せる資料として使う際は、情報が見やすいシンプルなスタイルを選ぶとよいでしょう。
作成の基本が整ったところで、続いてインポート機能の話に移ります。件数が多くなる場面では、ここが一番の時短ポイントになります。
Excelファイルからの一括インポート:大量データを効率登録する方法
手動での地点登録は、数件程度であれば問題ありません。ただし、顧客リストや取引先の住所が数十件・数百件にのぼる場合、1件ずつ入力していくのは現実的ではないでしょう。そこで役立つのが「インポート」機能です。
取引先の住所が30件ほどあり、それをマイマップに登録する作業が発生したことがありました。最初の数件は手入力で進めていたものの、途中で入力ミスが出始め、作業時間も想定以上にかかりました。腕を組んでしばらく考えた末にインポート機能を試したところ、Excelファイルを取り込むだけで全件が一度に登録され、作業時間が大幅に短縮されました。こうした場面でインポート機能の価値を実感できるかもしれません。
インポートできるファイルの形式は以下の通りです。CSV、TSV、KML、KMZ、GPX、XLSX(Excel)、Googleスプレッドシート、GoogleドライブまたはGoogleフォトに保存された写真が対象となります。
ファイルサイズと行数の制限については、KMLファイルは最大5MB、その他のファイルは最大40MBまで対応しています。データは最大2000行、写真は最大100枚まで取り込めます。業務で使う程度のデータ量であれば、上限を超えることはほとんどないでしょう。
インポート用のExcelファイルを作成する際は、2点を押さえておく必要があります。ひとつは1行目に項目名(タイトル行)を入れることです。「住所」「会社名」「担当者名」といった列名を1行目に記載します。もうひとつは、位置情報として使える列を必ず含めることです。「住所」や「緯度・経度」のような列がなければ、地図上に地点を配置できません。
インポートの操作手順は以下の通りです。
まず左メニューのレイヤ下部に表示されている「インポート」をクリックします。次に「参照」をクリックして取り込みたいファイルを選択します。「目印を配置する列の選択」画面で位置情報が含まれている列(例:住所)にチェックを入れて「続行」をクリックします。続いて「マーカーのタイトルとして使用する列」を選択して「完了」をクリックすると、地図上にマーカーが一括表示されます。
インポート後にデータを修正したい場合は、レイヤのメニュー内にある三点リーダーをクリックして「データビューを開く」を選択します。表形式でデータが表示されるので、修正したい箇所を直接クリックして編集できます。
変更箇所が多い場合は、元のExcelファイルを修正して再インポートする方法が効率的です。三点リーダーから「再インポートしてマージ」を選択し、「すべてのアイテムを置換」をクリックすることで、既存のデータを新しいファイルの内容で上書きできます。先ほどの例では、30件のデータに20件を追加した50件のファイルを再インポートしたところ、問題なく50件すべてが反映されました。
インポートの流れが把握できたところで、次はツール選びの参考として他のサービスとの比較を確認しておきます。
他ツールとの比較:マイマップはどんな場面で選ぶべきか
地図を使った情報管理には、いくつかのアプローチがあります。マイマップが最善かどうかは用途によって異なるため、主なツールと比較しながら整理しておきます。
| 比較項目 | Googleマイマップ | スプレッドシート+地図関数 | 有料地図管理ツール |
|---|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 無料 | 月額数千円〜 |
| 地図表示 | 視覚的に見やすい | 限定的 | 高機能 |
| インポート | Excel・CSV対応 | ネイティブ対応 | ツールによる |
| チーム共有 | Googleアカウントで可能 | 同上 | 管理機能が充実 |
| カスタマイズ | 色・アイコン・スタイル変更可 | ほぼ不可 | 高度な設定が可能 |
| 操作難易度 | 低い | 中程度 | ツールによる |
| 外部連携 | API利用で可能(有料) | 柔軟 | 充実していることが多い |
マイマップが向いているのは、次のような場面です。社内の顧客・取引先の住所を地図上で視覚的に管理したい場合、Excelにまとめた住所データをそのまま地図化したい場合、コストをかけずにチームで地図を共有・閲覧したい場合、特別なITスキルがなくてもすぐに始めたい場合、といったケースです。
一方で、大規模な顧客データベースと連携したい場合や、地図上でのルート最適化・在庫管理などの高度な業務処理が必要な場合は、専用の有料ツールを検討した方がよいかもしれません。
営業職の方であれば、週次の訪問先をレイヤごとに色分けして管理し、移動前にスマートフォンで確認するといった使い方が現実的です。中小企業のオーナーであれば、複数のスタッフがそれぞれの担当エリアの地図を共有し、進捗をマーカーの色で管理するといった活用も考えられます。高額なシステムを導入する前に、まずマイマップで試してみるという判断は、費用対効果の面でも理にかなっているでしょう。
ツールとしての立ち位置が整理できたところで、最後に共有と埋め込みの手順を確認します。
マイマップの共有・埋め込み:チームや顧客と地図を使いこなす
作成したマイマップは、自分だけで使うものに限りません。アクセス権限を適切に設定することで、社内メンバーへの共有から顧客向けの地図提供まで、さまざまな使い方が広がります。
閲覧のみで共有したい場合は、左メニュー上部の「共有」をクリックします。「地図の共有画面」が表示されるので、アクセス権限を選択します。「このリンクを知っている人なら誰でも表示できる」を選択するとURLを持っている人に公開され、「インターネットで検索しているユーザーにこの地図を公開する」を選択すると一般公開となります。用途に応じて使い分けるとよいでしょう。設定後にURLをコピーして相手に送れば、共有完了です。
共同編集を行いたい場合は、「共有」から「ドライブで共有」をクリックし、共有したい相手のメールアドレスを入力します。権限を「編集者」に設定して送信すると、相手も地図を編集できるようになります。複数の営業担当が訪問記録をそれぞれ入力していくような使い方が可能となります。
WebサイトにマイマップをHTMLで埋め込む場合は、レイヤのメニューから「自分のサイトに埋め込む」をクリックします。表示されたソースコードをコピーし、Webページの任意の箇所に貼り付けるだけで地図が表示されます。店舗の案内地図や、イベント会場への道案内として活用できるかもしれません。
共有時に注意しておきたい点があります。アクセス権限の設定を誤ると、意図せず社外の人に地図が公開される場合があります。特に「インターネットで検索しているユーザーに公開する」を選択した場合、地図の内容がGoogle検索の結果に表示される可能性があります。
顧客情報や社内の機密データが含まれている場合は、この設定を選ばないよう気をつけておきたいところです。共有設定は後から変更できるため、初期設定は「制限付き」または「リンクを知っている人のみ」にしておくのが無難でしょう。
まとめ
Googleマイマップは、無料で使えるにもかかわらず、業務での活用に十分な機能を備えたツールです。Excelの住所データをそのまま取り込める一括インポート、レイヤによる柔軟な分類、チームとの共有やWeb埋め込みまで、操作の難易度は低く保たれています。
特に営業職や中小企業オーナーの方にとっては、顧客・取引先の地図管理をシンプルに整理する手段として、まず試してみる価値があるものといえるでしょう。大がかりなシステムを導入する前に、まずマイマップで業務の流れを整えてみるという選択は、コストと手間の両面で合理的かもしれません。
操作に慣れてきたら、インポートの自動化や他のGoogleサービスとの連携も視野に入れると、さらに活用の幅が広がっていくでしょう。